ルサンチマン 完結 全4巻 読みたい

あらすじ・ネタバレ

３０歳素人童貞でハゲでデブが、救いを求めて仮想現実の世界でもがく話。
仮想現実に興味のある人、人工知能に興味のある人、救いのない話が好きな人へ。
坂本卓郎３０歳は、零細印刷所に勤めている。デブで無精ひげだらけ、どんどん前髪から髪の毛が薄くなっている。楽しみはボーナス後のソープランドだけ。卓郎は謎の焦燥感に駆られる日々を送っていたのである。
そんなある日、友人たちに飲み会に誘われ出席。その席で、卓郎よりもてなさそうな外見の越後が、まるでモテているような発言をする。卓郎は他の友達とトイレに二人で行った際に、越後が最近ギャルゲーにはまっていると聞き納得した。
飲み会が終わり、越後に家へと誘われる、越後の家で卓郎は越後がはまっているゲームを体験させてもらうことになった。ヘッドギアを着け、グローブを嵌め電源を入れると、そこにはＣＧとは思えないほどリアルで、また非現実的な景色が広がっていた。ゲーム世界で越後からゲームの中の女性たちを紹介してもらう。現実とは思えないほどかわいいみための女性たちに、まるで触られているかのようなリアルな感触を味わう卓郎。卓郎は、越後が現実逃避をしているだけだとわかっているが、うらやましさもまた感じてしまったのである。
日常に戻ったあともゲームのことを考えていた卓郎、現実では幸せにはなれないのではと考えた卓郎はついにゲームを買いにいってしまう。訪れたゲームショップで、理想の女性キャラを探す卓郎は、ゲームのパッケージの並べられている棚と床の間にゲームパッケージが落ちていることに気づいた。「ＴＵＫＩＫＯ」とキャラ名の書かれたパッケージに映る女性キャラに一目ぼれをした卓郎はそれを購入する。
ついにゲームを開始した卓郎は、ゲームの中で月子と名乗る女性キャラクターを初対面をする。自らの性的欲望を我慢できずに強引に触れようとする卓郎に、月子は本物の人間のような反応をする。プログラムでありながら、みずからは記憶がないと説明する月子。ゲームの中としりながら惹かれてしまった卓郎は真正面から告白する。しかし月子には好きな人がいると言われ断られてしまう。キレた卓郎が無理やり服を脱がそうとすると泣ながら噛みつき抵抗をして逃げてしまった。
最悪の出合いではあったが、世界でもっとも特別なＡＩである月子と卓郎はこうして出会ったのであった。
本作は卓郎と月子の恋愛を軸に、仮想現実世界への逃避と、現実世界での生活と恋愛が同時に進んでいく。月子は仮想現実世界も現実世界にも影響を及ぼすことができる存在であり、一度卓郎と月子は結ばれるが、卓郎目線ではおよそ幸福なエンディングとは言えない終わり方をする。いずれ来るであろう仮想現実の世界を２００４年当時に、来る２０１５年を想像して描いている傑作である。