水の館 完結 全1巻 読みたい

あらすじ・ネタバレ

◆概要
行方不明の兄を探す浩人が不思議な力に満ちた森で出会ったのは、大人びた瞳の美しい少女…兄達が暮らす別荘で6年前に起こった恐ろしい惨劇…兄を探し求め辿り着いた場所で浩人が見たものは、彼女をめぐる残酷で哀しい真実だった…。

◆おすすめする人
・サスペンス・ホラーが好きな人
・こどものおもちゃを読んでいた人

◆あらすじ
中学2年生の水原浩人は両親との三人暮らし。幼い頃から容姿端麗で勉強もスポーツも得意な人気者だったが、そんな浩人を妬んだクラスメイトのいじめが原因で、中学生になってからは極力目立たないように生活していた。
ある日両親が旅行先で事故死してしまい、人生に絶望した浩人は自殺を考えるが、ふと自分には行方不明の兄がいたことを思い出す。
探偵を使って兄を探し始める浩人は、行方不明になる直前に兄が交際していた真子と、その親友の美和も一緒にいなくなっていることを知り、当時の事情を知る美和の家族に会いに行く。
そして三人が美和の祖父が所有していた別荘に行ったきり行方がわからなくなったことを聞き、一人でその別荘に向かうのだが、美和の祖父は浩人が訪ねてきた翌日に自殺してしまった。
別荘があるという場所を目指して森をさまよう浩人だったが、どんなに歩いてもなぜか見つけることが出来ずに力尽きて倒れてしまう。
そんな浩人を見つめて冷たく笑う少女の声が森の中に不気味に響いていた…。

◆おもしろポイント
アニメ化もされた大人気マンガ『こどものおもちゃ』の劇中劇であるため、本編とは違ってサスペンスホラー色の強い作品となっている。
行方不明の兄正人を探しに、手がかりである別荘へ向かった浩人を迎えたのは、白い着物姿の女の子。
彼女は自分を真子と名乗るが、当時正人と交際し一緒に行方不明になっていた園田真子は現在20歳になっているはずで、目の前の彼女と同一人物であるはずがなかった。
この不思議な少女が物語の中心となるのだが、彼女と兄正人、そして真子の親友美和とともに別荘で過ごすうちに浩人が知ることになる真実は、とても残酷でおぞましく、そして哀しいものだった。
謎に満ちた真子だが、浩人と交流する中では少女らしい笑顔を見せることがあり、それが一層物語の悲劇性を高めている。
『こどものおもちゃ』とは別物であり物語は哀しい結末を迎えるが、読者には本編の登場人物達のもう一つの表情を楽しんでもらいたい。